研究について

研究について

オロト酸分析によるOTC欠損症の新生児マススクリーニングに関する多施設研究

1. 研究の目的

新生児マススクリーニングのうち、現在タンデムマスという機械をつかって22種類(自治体によっては16種類)について病気の有無を調べています。この研究は私達が開発した新たに改良された方法によって、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症という病気のお子さんを早期に見つける事が出来るか、という事を確かめる事が目的です。

2. 研究の意義

今回、早期発見をしたいと考えている病気は、尿素サイクル異常症という生まれつきの病気のグループに属します。この病気では身体にとって有害なアンモニアを肝臓で解毒して尿の中に排泄できるように変換する仕組みに生まれつきのトラブルを抱えています。血中のアンモニア値が上昇することは非常に危険で、意識障害やけいれん、生命の危険を伴うこともしばしばあります。本研究でこのような病気を持つ赤ちゃんが症状を出す前に発見する事が出来れば、先に述べたような症状を起こす前に適切な治療を受けることが出来て、予後を改善する事が期待できます。

3. 赤ちゃんへの負担など

本研究は通常行われる新生児マススクリーニングにおけるタンデムマス検査に追加して行うため、新たに赤ちゃんへの負担はありません。

4. 方法

本研究では全国の研究参加施設から、検査を受けた赤ちゃんの性別、出生体重、採血日令、検査値を提供していただきます。島根大学小児科ではそれぞれの赤ちゃんのお名前等、直接個人の特定が可能な情報は受け取りません。

その上で、マススクリーニング検査における各検査値の分布や再検査率、患者さんの数などを検討します。また、本研究で発見された患者さんがどのような症状、経過をとっているかについても調査します。

この研究は2017年11月(研究許可後)から2020年3月まで行います。

5. 情報・試料の管理

本研究で各施設から提供をうけたデータは十分な安全性を保った状態で保管し、研究の終了を報告してから少なくとも5年間保管します。

研究によって得られた結果は専門の学会や雑誌に発表する予定ですが、その際もお子さんやご家族の個人を識別できる情報は一切使用することはありません。個人情報は厳守します。

6. 費用について

本研究は日本医療研究開発機構(AMED)成育疾患克服等総合研究事業研究「タンデムマス・スクリーニングへのオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症の追加、およびムコ多糖症の新規スクリーニング法の開発および適応に関する研究」の補助を受けて実施しています。本研究で行う検査費用はこの研究費でまかないますので、研究に参加することで金銭的な負担が増える事はありません。また、本研究にご参加いただく事での謝礼等はありません。

他の外部団体から研究資金等の提供を受けていませんので、本研究に関する研究者の利益相反はありません。

7. 連絡先

本研究についてのお問い合わせは、次の連絡先にお願いします。

本研究に利用してほしくない方または代理人のかたからの拒否申し出についても以下にご連絡をお願いします。

研究代表者 島根大学医学部附属病院小児科・助教 小林 弘典

連絡先: 島根大学医学部小児科
電話 0853−20−2219(医局)
FAX 0853−20−2215(秘書室)

8. 研究参加施設

本研究は以下の施設が参加しています。

  • 長野県立こども病院
    施設責任者 中村友彦(副院長兼総合周産期母子医療センター長)
  • 熊本大学医学部小児科
    施設責任 中村公彦(熊本大学大学院生命科学研究部小児科学分野 教授)
  • その他、すべてのタンデムマス・スクリーニング検査を実施している施設