研究について

研究について

先天代謝異常症に関する研究

山口清次、長谷川有紀、小林弘典、山田健治

有機酸・脂肪酸代謝異常症の診断、治療に関する研究

当研究チームはこれまで20年以上にわたりGC/MSやLC−MS/MS(タンデムマス)などの質量分析計を用いて、 尿中有機酸分析や血中・尿中アシルカルニチン分析などを行い、主として有機酸代謝異常症や脂肪酸代謝異常症の 診断や病態の解明を進めて来ました。現在も「NPO法人 タンデムマス・スクリーニング普及協会 (tandem-ms.or.jp)を通じてこの領域の診断、治療に大きく関わっています。 海外との交流も積極的に行っており、15年以上にわたり、中国、韓国、ベトナム、タイ、インド、マレーシア、 フィリピン、イラクなどの中東諸国などと、検体の分析や確定診断や、研究者の研修受け入れ等を含めて継続的に 行ってきました。

【図3】GC/MS、タンデムマスの写真
タンデムマス写真
GC/MSの写真
【図4】海外協力図 海外協力図

また、質量分析計を用いた先天代謝異常症の診断法は、近年、新生児タンデムマス・スクリーニングとして 全国に普及しましたが、これは当教室が中心施設の1つとなって実現しました。スクリーニングが導入された あとも発見された患者さんや家族が不安無く過ごせる様に、また、スクリーニングの長期的な効果や問題点を 振り返ることが出来る様に、長期的な患者追跡システムを構築するための研究も行っています。

分析のご依頼について

現在当教室では、共同研究等の特定の分析に限り、検査をさせて頂いております。 当教室へ検査をご依頼される際には必ずメール(島大医学部小児科第二研究室 peded@med.shimane-u.ac.jp) にてお知らせ頂ますようお願い致します。ご依頼内容によっては特別な処理が必要となる(尿中メバロン酸測定など) 場合もありますので、事前にご連絡をお願いします。

当教室への依頼は所定の書式にご記入下さい
(下記のファイルをダウンロードしてお使い下さい)

・検査依頼書(Excel:163KB)

注1:当教室では、稀少疾患の予後調査のため研究を行っています。 ご提供いただいた臨床情報や、残りの検体は研究のために匿名化したのち使用させていただく事があります。 予めご了承ください。また、代謝異常症と診断された場合には、転帰や経過について問い合わせをさせていただく 事があります。匿名調査ですのでご理解の上、ご協力をお願いいたします。

注2:有機酸分析・アシルカルニチン分析の結果を学会発表、 論文投稿にお考えの場合には事前にご連絡下さい。発表用のデータ出力等でもご協力させていただきます。

タンデムマス・スクリーニングへのオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症の追加、およびムコ多糖症の 新規スクリーニング法の開発および適応に関する研究

  • わが国で最も頻度の高い尿素サイクル異常症であるOTC欠損症をタンデムマス・スクリーニングに追加するため に当教室で開発した分析方法を用いて全国的なパイロット研究を行う事を目的として研究を行います。
  • 世界的に新生児マススクリーニングへの適応が進んでいるムコ多糖症について、わが国で導入する際の妥当性を 評価するとともに、現状で問題になっているムコ多糖症スクリーニング法の新しい方法の開発を島津製作所など と共同で開発を目指しています。